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青い花  Report

Gaonの“青い花”美術館
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2007/10/10 水彩画-シヒテン1
  

2007/10/10  水彩画-シヒテン 1

 

 

 

テーマ

…層技法で描く「一日の雰囲気~流れ」


2007年度の“青い花”では最初の数回を“ぬらし絵”に費やした。

あらかじめ水に浸しておいた水彩紙に透明な水彩絵の具で色をおいていく(塗る)“ぬらし絵”は、初めて水彩を描く人にも抵抗なく取り組むことのできる技法である。

 

しかも、この技法を用いた場合、絵の具がにじむため色は厳格な形をまとうことができず、かえって色彩そのものを強烈に感じることができる。・・・このことが象徴するように“青い花”は、一般的に上手だとされる絵を描くことを目的とするのではなく、もっと根源的な体験に重点を置いている芸術クラスである。

 

 

さて、今回の課題は“シヒテンで描く「流れ」。最初のテーマ設定は「一日のうちに移り変わる光と空気を描く」というものだったが、それこそ講座の流れの中で「空気の流れを描く」というものに変わっていた(笑)。

 

参加者の中には「この技法も初めて」という方がいらっしゃり、ちょっと不安もあるようだったが、自然界に対する明確かつ深い理解を持つ井手先生によるプレゼンテーションのおかげで、「流れ」というものに対するイメージが、ある程度喚起されたように見受けられた。


 

 

 

今回使用する画材は、シュトックマー社(ドイツ)の透明水彩絵の具から青2色、ウルトラマリンブルーとプルシアンブルー。水彩紙はアルシュ社の上質のもの。あらかじめ画板に水張りして乾かしておく。それと比較的幅広の水彩用筆。

 

“シヒテン”とはドイツ語で、日本では“層技法”と言われている。また、アメリカのシュタイナー学校で学んだ方々は“ベールペイント”と紹介されている。

 

単純に言えば、薄く溶いた透明な水彩絵の具を何層にも塗り重ねていく技法、またはその技法を用いて描かれた絵画作品のことである。色を塗っては乾かし、また縫っては乾かし・・・これをひたすら繰り返しながら仕上げていくのだ。


 

 

シュタイナー学校の美術授業のカリキュラムには7年生(日本では中学生)くらいから取り入れられるようだ。それまでは水彩と言えば、もっぱら“ぬらし絵”である。Raumで行われている土曜クラス“福岡シュタイナー教室”でも、子どもたちは中学生クラスになって初めて取り組んでいる。

 

・・・なぜだろうと考えたときに、“ぬらし絵”は短い時間で即興的に描きながら色彩そのものと遊ぶのに対して、“シヒテン”ではゆっくり時間をかけて色や形と対話しなければならない。

 

その際に必要になってくる感覚は、もしかしたらコミュニケーションの感覚に似ているかもしれない・・・自分が存在すると同時に相手も存在していて、両方の気持ちや考えをすり合わせながら一つの世界を創造していくような・・・。目的によっては、先の予測というような思考能力も要求される場合もある。

 

そう考えると、やはり第三・7年期になってからにふさわしい体験だと納得できるのだ。

 

そして、もちろんどのような技法であってもさまざまな可能性を持っていると思うが、この“シヒテン”においては、“シヒテン”画家という分類があるように絵画制作という視点からの表現追求ができるし、もう一方で、セラピー的な視点からのアプローチも可能であるという特徴がある。 

 

 

 

 

         

 

私はこの“シヒテン”という技法が大好きで、これまでも何枚も描いてきた。・・・なぜ好きなのかというと、(先にも書いたように)やはり描いている間の心地良さがあり、作品としてみた場合にも薄絹を重ねたような繊細で美しい表現ができるからだ。

 

この“青い花”で行われている“シヒテン”は、どちらかというとセラピーの現場で行われている方法に近いと思う。だから、形や画面の構築などについて、あまり考えすぎない方がいい・・・と、私は思っている。むしろ、自分の中に調和的な感覚が生まれてくるか?・・・そういう部分に意識を向けることが大切だ。


 

 

では、まずはいろいろ頭で考えることをやめて、自分の中にある動きを青い色を使って画面に表現してみよう。

 

そして自分自身を静かにして、ただただそこに現れた色彩と流れを感じてみる・・・すると、画面のほうから自分に向かってくる「何か」に気付くだろう。

 

そしてその「何か」に同調するまで待っていると、やがて自分の中に次の動きが生まれてくる。そのような行為をひたすら繰り返す・・・

 

本当にその世界に入ると、やがて呼吸が楽になってくるのを感じる・・・でも、「何か」とは何なの?・・・何と言ったらいいのだろう・・・言葉で表現することは難しいな・・・

 

「何か」とは色であるかもしれないし形であるかもしれない。思い出の一つであるかもしれないし、風景であるかもしれない。もしかしたら音楽や感情だということもある。それは一人一人ちがって構わない・・・というか、ちがって当然だから。

 

でも、あまり具体的なイメージの形に固まってしまわないよう、常に動いている自分の内的な部分と外側を感じつつ描く。・・・そう、それは有機的、まるでゆっくりと呼吸をするように・・・


 

 

 

 

 

さて、第1回目を終えて作品を見合った。そして、3回連続講座の次回は2回目。ゆっくり時間をかけて取り組む中で、作品も自分もどのように変わっていくのか?…楽しみだ。 

 

                      2007/11/4 ■report Gaon